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EVとは?

最終更新日:2024年10月1日

この「EV導入解説」では、電気自動車(EV)に関する疑問にいくつかの側面から答えることにより、EVの様々な魅力や特徴を紹介していきます。まずはそもそもEVとはどんなクルマなのかをお伝えします。

EVについて

EVは「Electric Vehicle」の略で、駆動用バッテリーに貯めた電力でモーターを駆動させて走行します。エンジン車とは異なり、走行中はCO2(二酸化炭素)を排出しません。

電力を利用した自動車にはこのEVのほかにハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCEV)などがあり、これらもEVに分類する場合があります。明確に区分するためにEVをBEV(Battery Electric Vehicle)と呼ぶこともありますが、この「EV導入解説」ではEVとします。

参考:EVの「航続距離」は?

EV・PHEV・HEVのシステム比較画像

EVの特徴

電力で回転するモーターは発進時から最大の加速性能を発揮するため、ストレスなくスムーズに加速することが可能です。アクセル操作に対する反応も良く、運転のしやすさにもつながります。動力源である電気モーターは非常に静粛性が高いので、エンジン車と比較して走行時の騒音や振動も少なく、この快適さは疲労軽減にもつながります。EVは車体下へ重いバッテリーをレイアウトしていることにより、低重心になるため、ハンドリングや乗り心地にも安定感をもたらします。

参考:EVをうまく走らせる「コツ」は?

EVとエンジン車のエネルギー効率を比較するには、様々な条件が関係しますが、一般的にEVはエンジン車よりもエネルギー効率がかなり高いと言われています。

EVの環境性能

EVは走行中にCO2を排出しないことが特徴です。エンジン車は燃料であるガソリンや軽油などを燃焼させて走行するのでCO2を排出します。この点ではEVの方が、環境性能が高いと言えます。

しかしEVの製造から利用、廃棄までのライフサイクルアセスメント(LCA)でみると、単純にEVの方が、CO2排出量が少ないとは言い切れません。

例えばEVに搭載されるリチウムイオン電池は製造段階で排出するCO2が多いため、車両が完成するまでのプロセスに限れば、EVのほうがエンジン車に比べてCO2排出量が多いと言われています。また、日本国内の電力は約7割を火力発電に依存しており、EVの充電に使用する電力の発電においても多くのCO2を排出しています。

ただし、将来的には日本国内でも再生可能エネルギーの比率を増やすことを目標として掲げており、それが実現すれば、EVはより多くのCO2削減に貢献します。さらには太陽光パネルとあわせて導入したり、CO2フリーの電力プランに切り替えたりすることで、EVの消費電力を全てクリーンエネルギーでまかなうことも可能です。

EVを蓄電池として活用する

EVの駆動用バッテリーに蓄えられた電力を車外に取り出して使用する、もしくは家庭用電力として使用することもできます。詳細は「V2H」「V2L」とは?をご覧ください。

EVのバッテリー

EVの駆動用バッテリーには主にリチウムイオン電池が使用されています。パソコンや携帯電話などで一般に用いられているものと原理的には同じですが、EV用は耐熱性や耐久性などを向上させています。さらに、多くのEVではバッテリーの温度をコントロールしており、より高速の充電や冬季の航続距離の確保などを可能にしています。

EVに使われているバッテリーイメージ画像

参考:EVを「充電できる場所」は?

参考:EVの「充電にかかる時間」は?

EVのモーター

EVのモーターには大きく分けて直流モーターと交流モーターの二種類があります。より効率の高い交流モーターは、以前は回転速度の制御が難しいとされていましたが、周波数を細かく制御するインバーターの普及などにより、現在のEVでは主流の方式になっています。

この交流モーターには、永久磁石を使用した永久磁石モーター、電磁石の原理を利用した巻き線界磁式モーターなどいくつかの種類があります。

モーターはエンジンと比較して駆動力の制御をきめ細かに行うことができます。部品点数が少なくオイル交換などが不要であるため、メンテナンスの面でもメリットがあります。

参考:EVにかかる「コスト」は?

EVのモーターイメージ画像
EVの歴史

EVの歴史は古く、1830年代に発明され、1880年代にはエンジン車よりも早く市販に至っています。

しかし当時の電池技術では十分な航続距離を確保できなかったため、エンジン車がより急速に普及していきました。その後の石油ショックや燃費規制のたびにEVの開発が再開されますが、いずれも電池技術や価格、充電インフラの問題から普及するには至りませんでした。その間に燃費や環境対応技術として、ハイブリッド車が徐々にシェアを拡大していきます。

2000年代になるとリチウムイオン電池がパソコンの普及などに伴い急激な性能向上を果たし、改めてEVの可能性が検討され始めます。そして2009年に三菱自動車から世界初のリチウムイオン電池搭載の量産型EVである「i-MiEV」が発売され、翌年には日産「リーフ」が登場、その後も様々なメーカーからEVが発売されて現在に至っています。

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