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EVにかかる「コスト」は?

最終更新日:2024年10月1日

電気自動車(EV)を所有して走らせるには、エンジン車と同様に「購入」「維持」「走行」の各段階でコストがかかります。これらをそれぞれの要素に分解して、総合的に検討してみましょう。

車両価格

EVの価格は、軽EVの200万円台から1,000万円以上の高級EVまで様々で、ボディサイズを基準にした場合、一般的にはエンジン車よりも高価です。しかし、国や自治体から、EVの購入に対して補助金や税制優遇措置があり、条件が合えば実際の購入コストを下げることができます。

補助金は国から支給されるCEV補助金(普通車は12〜85万円、軽EVは15〜55万円、※)に加えて、各自治体にも用意しているところがあります。 東京都(※)の場合は、基本補助額が35〜45万円、自動車メーカー別の上乗せ補助額が5〜10万円、再生可能エネルギー電力導入による上乗せ補助額が15〜30万円です。居住自治体によっては軽EVでも100万円を超える補助額の実現が可能です。

また、事業用(黒・緑ナンバー)でEVを導入する場合はCEV補助金に代わってLEVO補助金※が受けられる場合があります。

※CEV補助金と各自治体の補助制度の有無および補助金額については、一般社団法人次世代自動車振興センターのホームページをご確認ください。LEVO補助金については、一般財団法人環境優良車普及機構をご確認ください。なお上記の補助金額は令和6年度の場合で、予算には上限があります。

参考:一般社団法人次世代自動車振興センター

参考:一般財団法人環境優良車普及機構

EVにかかるコストのイメージ画像
維持費

購入後に必要となる、維持コストについて見ていきます。

使用の本拠となる自宅や事業所に充電器を設置する場合、その設置費用が必要となり、通常、普通充電器の設置費用は数万円から数十万円程度です。

参考:「普通充電器の種類と選び方」

税金に関して、環境性能割、自動車重量税、自動車税(自動車税種別割)は、EVの場合は減免されるケースが多くあります。

また日常的なメンテナンスについては、EVはエンジンを持たないため、オイル交換などが不要です。そのためメンテナンスの費用はエンジン車より低くなり、コストを抑えられます。

車検はエンジン車と同様に受ける必要がありますが、前述のようにオイル交換が不要であることなどから整備費用を抑えられる可能性があります。上述した税金の一部は車検時に請求されることも含めると、エンジン車より車検総費用は割安になるケースが多いです。

自動車保険については、一般的にEVはエンジン車と比較して、車両本体価格が高いため、それに伴い車両保険がやや高くなる場合がありますが、「EV割引」を設定している保険会社もあり、契約内容によっては保険料を低く抑えられる可能性があります。

燃費/電費

最後に、走行のたびにかかるコストについて紹介します。走行に必要な電力の費用は、地域や電力会社のプランによって異なりますが、一般的に同じ経路を移動する場合、エンジン車の燃料代よりも安価です。公共の充電スポットを利用する場合、その利用料金がかかり、料金はスポットによって異なります。

例として現況の平均的な電気代とガソリン代を元に、EVとエンジン車で年間に1万km走行した場合のコストを下記のような簡易計算で比較すると、EVの方が年間でおよそ5万円も安価になります。

EVの場合

(電費を6.5km/kWh、自宅で充電、電気代は1kWhあたり40円とする)

10,000(㎞)÷6.5(㎞/kWh)=1,538(kWh)
走行距離÷電費=必要電力量
1,538(kWh)×40(円/kWh)=61,520(円)
必要電力量×電力量料金=EVの電気代

エンジン車の場合

(燃費を15km/L、ガソリン代は1リッターあたり170円とする)

10,000(㎞)÷15(㎞/L) = 667(L)
走行距離÷燃費=必要ガソリン量
667(L)×170(円/L) = 113,390(円)
必要ガソリン量×ガソリン単価=ガソリン代

また、最近ではEV向けの電気料金プランを設定している電力会社もあり、さらにその中には再生エネルギーを供給している場合もあるので、より環境対応に配慮したEVの運用も可能です。

マーケットプレイス:電力プラン

バッテリー容量50kWhの車両が、40%分(20kWh)※1を充電するために要する時間・費用を簡易シミュレーションします。

充電電力 所要時間 充電費用
自宅で充電する場合※2 6kW 200分 800円
街中の普通充電器で充電する場合※3 6kW 200分 1320円
街中の急速充電器で充電する場合※4 50kW 約24分 1,108円

※1 電費160Wh/kmの場合、走行距離125km分に相当します。
※2 MCリテールエナジー「デイタイムバリュープラン」を契約し、日中9~15時の間で充電した場合
※3 e-Mobility Power 3.85円/分
※4 e-Mobility Power 77円/分

参考:EVの「充電にかかる時間」は?

総合的に見ると、EVの初期購入時には高額になる場合がありますが、維持費や走行コストが低いため、長期的にはエンジン車よりも経済的になることが考えられます。また、環境負荷の低減や政府の支援策も大きな魅力となっています。

EV燃費のイメージ画像

EVにかかるコストのポイント
車両価格
  • 一般的に同サイズのエンジン車より高価
  • 国や自治体からの補助金や税制優遇措置がある
維持コスト
  • 自宅に充電器を設置する費用:普通充電器の設置費用は数万円から数十万円程度。但し、自宅で充電するのがコスト的に一番安価。
  • 自動車保険:車両価格が高くなる分だけ車両保険料がやや高くなる場合がある。
  • 税金:環境性能割が適用され、自動車重量税、自動車税(自動車税種別割)はEVの場合減免されることが多い。
  • 車検:エンジン車と同様に必要だが、税金の優遇分のコストを抑えられる。
  • メンテナンス:エンジンオイルの交換が不要など、メンテナンス頻度が低い可能性がある。
  • バッテリー:多くのメーカーが8年16万km時などの条件で一定の性能を保証している(※)。
※バッテリー保証については、車両取扱説明書やメーカー・ディーラーの公式情報をご確認ください。
走行コスト
  • 走行に必要な電力費用:地域や電力会社のプランにより異なるが一般的にガソリン代より安価。
  • 公共の充電スポット利用料金:スポットによって異なる。
  • 充電や駐車場の料金:EVは充電が無料だったり、駐車料金が割引になったりする場合もある。
  • EV向けの電気料金プラン:再生エネルギーによる電力供給プランもある。
総合評価
  • 初期購入時の費用が高額
  • 維持費や走行コストが低いため、長期的に経済的
  • 国や自治体の支援策や環境負荷の低減が魅力
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