電気自動車(EV)の充電にかかる時間は、充電方式と使用する充電器の出力、車両のバッテリー容量、充電残量、気温などによって大きく異なります。ここでは、主要な充電方式である「普通充電」と「急速充電」に分けて説明します。
普通充電の場合
普通充電は主に家庭や職場で利用する方法で、出力は一般的に3~6kW程度です。この充電方法では、充電残量がゼロの状態から満充電になるまでに通常数時間から10時間以上かかります。
具体的な充電時間の目安は、以下のような計算式で求めることができます。
充電時間(h)=バッテリー容量(kWh)÷ 充電器の出力(kW)
例として、20kWhのバッテリーを搭載した車両を3kWの充電器で充電する場合、バッテリー残量警告灯の点灯から満充電にするのに約7時間かかります。
急速充電の場合
急速充電は、充電スポットにおいて短時間で充電を行う方法で、出力は50〜150kWが一般的です。急速充電では、普通充電と比べて大幅に充電時間を短縮できます。
公共の急速充電器は、多くの場合、1回の充電で利用できる時間の上限が30分など短時間に限定されていることに注意してください。大容量のバッテリーを搭載する車両の場合、出力の大きい充電器を利用しても、1回の充電では満充電に達しない可能性があります。
充電にかかる時間の計算式は、前述した普通充電の場合と基本的には同様です。ただし、EVでは車種ごとに車両側が受け入れ可能な最大出力が異なります。軽EVの三菱「ekクロスEV」と日産「サクラ」の場合は30kWですので、出力が30kWを上回る充電器を使ったとしても、30kW以上のスピードで充電することはできません(※)。
たとえば、ekクロスEVとサクラの全容量20kWhのバッテリーを50kWの急速充電器を使用して充電した場合、バッテリー残量警告灯が点灯した時点から充電率80%までにかかる充電時間は約40分です。
急速充電では、リチウムイオンバッテリーの安全性と耐久性を考慮し、充電率がおよそ80%を超えると出力が低下することがあります(※)。すでに次の目的地や自宅まで十分な距離を走行できる充電率が確保されている場合は、設備ごとに設定されている最大の充電時間(たとえば30分)を待たずに充電を終了してスタートするのも一案です。
リチウムイオンバッテリーは外気温が低くなると内部抵抗が増えるため、充電により時間がかかる場合があります。そのため多くのEVがバッテリーを温めるヒーター(※)を搭載しています。
※実際の充電性能は、外気温、バッテリー温度、充電開始時の充電率などにより変化します。出力低下になる充電率は、車種や充電時の状況によっても異なります。バッテリーヒーターの有無については、車両取扱説明書やメーカー・ディーラーの公式情報をご確認ください。
充電にかかる時間のポイント
EVの充電時間は一概に言えず、使用する充電器の種類と出力、バッテリーの状態や容量によって大きく変わります。
- バッテリー容量:大きいバッテリーほど満充電までの充電所要時間が長くなります。
- 充電残量:残量が少ないほど充電時間が長くなります。
- 充電環境:外気温やバッテリーの温度も充電時間に影響します。
- 車種固有の充電特性:車種によって最大充電速度や充電効率、バッテリーの温度管理制御が異なるため、充電時間に差がでます。
一般的には、普通充電では数時間から10時間以上、急速充電では30分から1時間程度が目安となります。具体的な所要時間については、各車両のマニュアルやメーカーの公式情報をご確認ください。