EVNION体験記

EVNION EXPERIENCE

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山梨の賃貸ガレージハウスで実現したEVライフ(前編) —

エンジン車とともに歩んできた私が、EVを選ぶまで

自動車雑誌の編集部で長く仕事をしてきた筆者が、山梨の賃貸ガレージハウスを拠点に、電気自動車(EV)のポルシェ・タイカン4Sとの暮らしを始めました。全3回の初回では、エンジン車と長く付き合ってきた私がなぜEVを選んだのか、そして自宅の充電環境をどのように整えたのかを紹介します。

エンジン車とともに仕事をしてきた

私は社会人としてのキャリアを自動車雑誌の編集部でスタートし、15年間にわたり旧車から最新モデル、スポーツカーからEVの試作車やレーシングカーまで、幅広い車に触れてきました。
その後は海外自動車メーカーの日本法人を経て、現在は自動車関連企業のPR業務を中心に、ウェブや雑誌への寄稿も続けています。

自身の車としては、著書の制作をきっかけに中古のフェラーリを所有したこともあります。5.7リッターV12エンジンの魅力的な車でしたが、その性能を存分に味わえる機会は、日本の道路環境では決して多くありませんでした。維持や整備にも相応のコストがかかることから、関連する仕事を終えたタイミングで手放しました。

EVへの関心と、「自宅充電」という課題

一方で、電気自動車のことは以前から気になっていました。雑誌編集部にいた頃、すでに日産リーフや三菱i-MiEV(アイ・ミーブ)は発売されていて、これらが将来どういう形で普及していくのだろうかという興味をこの10年あまり、ずっと持っていたのです。

その後も仕事柄いろいろなメーカーのEVに乗る機会があり、近年は性能や実用性の向上を肌で感じるようになりました。同時に、はっきりしてきたこともあります。自宅に充電の拠点がないままEVと暮らすのは、自分には少し難しそうだ、ということです。

公共の急速充電器だけに頼る生活は、コストの面でも時間の面でも、なかなか気楽とは言えません。裏を返せば、自宅で充電できるかどうかで、EVという乗り物の印象は大きく変わります。ですから私は「いつかEVとの縁が持てたら」と思いながら、その条件が揃うのを待っていました。

参考:EVを「充電できる場所」は?

タイカンという、EVならではのパッケージング

もうひとつ、私の頭の隅に残っていたのが4ドアのEVスポーツカー、ポルシェ・タイカンでした。

デビュー時に取材し、その性能にも驚きましたが、より印象的だったのはパッケージングとデザインです。エンジンを搭載するパナメーラと比べると、タイカンはボンネットが低く、全体のフォルムや重心の低さも際立っています。

タイカンイメージ画像

床下にバッテリーを搭載するEVだからこそ実現できる、低重心と長いホイールベースを生かしたスタイル。それがタイカンの大きな魅力だと感じました。

山梨に第二の拠点を持ったこと

EV導入の決め手になったのは、生活のほうの変化でした。

空き家になっていた実家の整理をきっかけに、山梨に第二の拠点を設けることにしたのです。東京から離れたある地点を境に、渋滞がふっと消えるポイントが、どの方面の高速道路にもあります。中央道でいえば小仏トンネル。その向こう側に、暮らしの片方を置きたいと考えていました。

山に登るようになったこと、そして東京都心での生活に少し飽きていたことが理由です。仕事の拠点として東京を手放すわけにはいきませんから、必然的に、二拠点のあいだを往復する暮らしになります。

そうして見つけたのが、賃貸のガレージハウスという選択肢でした。大家さんが理解のある方で、「充電器を付けていただいて構いませんよ」と言ってくださったのです。

第二の拠点を構えてみて気づいたことが、もうひとつあります。東京と山梨のあいだを安定して、確実に移動できることが、思っていた以上に大切だということです。かつてはスポーツカーやエンジンの刺激こそが自分を満たしてくれる、そういう感覚が強くありました。それがいまは、ほぼ全区間でアダプティブクルーズコントロールを使い、落ち着いた速度で淡々と流しています。ワインディングロードを気持ちよく走らせるのはいまでも好きですが、静かに安定して走ってくれて、環境への配慮もできる。そこに快適さを感じる領域が、自分のなかに確かに存在していました。

そうであれば、次に選ぶのはEVではないだろうか。そう考えるようになりました。

きっかけは、クルマ好きのつながりから

ちょうどその頃、二つのことが続けて起こりました。

ひとつは、知人のカーショップに一台のタイカン4Sが入ってきたこと。もうひとつは、イブニオン株式会社との出会いです。

イブニオンとは、もともとクルマ好きのつながりをたどるご縁で、コンテンツ制作のお仕事をご一緒させていただいていました。EVの充電インフラを手がける会社だとは伺っていましたが、事業者向けの設備が中心なのだろうと、勝手に思い込んでいたのです。

ところがお話を聞いてみると、個人宅向けの普通充電設備も手がけているとのこと。さらに驚いたのが、その充電出力です。

私はこれまで、自宅での普通充電といえば4kW、速くても6kW程度が上限だと考えていました。ところが、電気設備などの条件が整えば、一般家庭でも8kWまで対応できるというのです。 日常的に自宅で充電することを考えると、この差は決して小さくありません。想定していた以上のスピードで充電できる環境を自宅に整えられる。その提案は、タイカンとのEV生活を考えていた私にとって、とても魅力的なものでした。

欲しかったのはある程度の高性能車で、そうしたクルマは1kWhあたりに走れる距離がどうしても限られます。しかも仕事でもレジャーでも頻繁に乗ります。

充電という行為に不自由を感じたくなかったので、出力はできるだけ高いほうがありがたい。とはいえ、私の第二拠点は賃貸です。一般的な戸建てとは前提が違う話に、そもそもイブニオンが乗ってくれるのかどうか。そこが気がかりでした。

参考:普通充電器の種類と選び方

2026年1月8日、見積もりを依頼する

年が明けて間もない1月8日、私はイブニオンの方に、こんなメールを書いています。

まだ決めかねてはいるところですが、旧知のクルマ屋のところに素敵なポルシェ・タイカンが入ってきまして、購入を検討しています。山梨の第2拠点が賃貸ガレージハウスでして、そちらに充電器の設置を検討しており、さきほどイブニオン・プレイスで見積もりを依頼してみました。
ずいぶん慎重な書き出しです。実際、この時点では車も充電器もまだ決めていませんでした。

返ってきたのは、「ぜひサポートさせていただきます」という快いお返事でした。賃貸であることも、普通充電としては高めの出力を求めていることも、まったく問題にされませんでした。

このとき、長年思っていたことと、いま自分にできることが、ちょうど重なりました。自宅充電のあるEV生活を体験してみたいという以前からの願いと、これは自分の仕事としてもっと掘り下げてもいい分野なのではないか、というEVへの関心と。

では電気自動車を買って、充電器を付けてみよう。そう心を決めることができました。

次回は、実際に車を決めてから充電器が動き出すまで、およそ3か月の道のりをお伝えします。

車庫イメージ画像

Seiji Tanaka 田中 誠司 PRストラテジスト、ポーリクロム代表取締役、VisionVoice取締役、PARCFERME編集長

自動車雑誌『カーグラフィック』編集長、BMW Japan広報部長、UNIQLOグローバルPRマネジャー等を歴任。1975年生まれ。筑波大学基礎工学類卒業。近著に「奥山清行 デザイン全史」(新潮社)。モノ文化を伝えるマルチメディア「PARCFERME」編集長。2026年、働く人の「声」を経営資産に変えるAIサービス「VisionVoice」創業。

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